kanariya022006-03-18

アイコン:セイリィ(下で登場、紹介します)
中の一番下にも画像あります。


さて、今回は昨日のリン姫編に続いてエスタ編です。
ネオンとの戦闘からシルフィ戦まで、ドバッといっちゃいます。
ついに復活を遂げるエスタ、そして新たなゴーレム、さらにいよいよ力を見せる最強のセラ、シルフィン=アビス、盛りだくさんな内容にご注目ください。
ではでは、参ります。

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ネオン戦。
el「くっ…」
倒しても倒しても再生するウインザード・セイオーン。
elは大苦戦を強いられる。
既に撃破すること16回。
しかし、ネオンの話ではあと3回も再生できてしまう。
5回というのそう多いものではない。
しかし、16回も撃破する上で、こちらもかなりの魔力を消費してしまっている。
el自身、エスターシャ=ローネの分身体の存在。
いわば魔法によって、魔力によって形成された存在である。
魔力がなくなると自分自身が消滅してしまうわけだ。
そして、分身体故に、魔力自体がそれほど多くは無い。
ネオンより少ないのは間違いないだろう。
結果、消耗合戦の中で、ネオン以上にelはピンチといえる。
ネオンは再生型ゴーレムで長期戦を展開させてる側としてこの展開を予定している。
そのために、この状況をピンチとは取っていないようだ。
ここまで、16回もセイオーンを撃破したことには驚いているようだが…。
el「アローーレイン!!!」
セイオーン・レーンの技の一つ。
弓を頭上へ、上へと向け、矢を打ち放った。
すると、上空より無数の氷の矢が降り注ぐ。
その矢はセイオーンに降り注ぎ、貫いていく。
ネオン「17…」
その声と共に、セイオーンが再生する。
el「フリージングランス!!」
セイレーンの杖から水の刃が。
杖はランスと化する。
長い長い、物凄く長いランスとして。
el「てりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
セイオーンへ突進、巨大なランスが貫く。
そして、撃破。
ネオン「18…」
変わらぬ口調、ここまでやられてもネオンに変化は無い。
一方で…。
el「はぁ…はぁ…はぁ…あと…2回」
再生自体はは残り1回だが、倒さなければいけない回数は2回である。
しかし、elの魔力は残りわずかしかない。
ネオン「弓の雨にしろ、巨大なランスにしろ、子守唄にしろ、撃ててあと1発ね」
冷淡な口調。
圧倒的な優位を感じ取っている。
だが、ネオンの言うとおりだ。
elの魔力は残りわずか。
セイオーンを撃破できるような大技は出せて1発。
それも魔力を大幅に使うため、分身体である自身が消滅する可能性もある。
どうあがいても倒すことは出来ない。
ある手段を除けば…。
el(勝つ手段は一つしかない…。本体を取り返すしか…)
目の前に、写るモノ。
自分の本体。
究極兵器である、最強の兵器として作られたあれなら勝てる。
問題はいかに封印をとくか。
先ほどまでにも何度もチャレンジしていた。
ネオンと同じ柱の上にある本体。
ネオン本人に攻撃を仕掛けたり、封印を攻撃したり。
しかし駄目だった。
ネオンはどの攻撃もしっかり回避する。
封印を狙った際は、バリアを張られ、攻撃をやわらげられてしまっていた。
そして封印を破るまでには至らない、至れない。
何か方法は…?
考える。必死で考える。
しかし、思い浮かばない。
目の前にいるネオンという少女、明らかに強い。
治癒再生の能力、そして防御に専念する姿勢。
彼女自身の性格等もあるが、このエスタの本体を守るというこの状況、彼女はうってつけな存在だ。
彼女を、ネオンをかわしつつ大技を…ランスを直撃させる。
困難だが、これしかない。
ランスによる一点攻撃。
シルフィの…もう一人の究極兵器が張った結界を打ち破るにはランスしか手が無い。
それ以外では破れない可能性があるために。
ネオンの動きを全て把握しなければ…ランスを当てるためにはネオンを見切る必要がある。
どうする?
今までの戦闘からしても不可能なことだ。
これだけ戦っても向こうの方が一枚上手。
こちらが上手になる力が無い限りは…。
el(あの力は…使えるの?この身体は本体よりはるかにポテンシャルが低い…。事実使えてない…)
エスタ本体なら使える力。
それが使えたなら…。
el(やるしかない。全てをこの攻撃に賭ける!!)
ネオン「?」
el「…フリージング・ランス」
杖はランスへ。
そして、
el「これに…賭ける!!」
ネオン(最後の大技は…本体狙いか。まぁ、当然ね)
ネオンもelの狙いを読み切っている。
elもそのことは気にしていない。
el(ほんのちょっとでいい、発動して…)
el「魔極の瞳ぃぃ!!!」
elの瞳が閃光のように輝く。
青く、鮮やかで…不思議な瞳へ。
ネオン「なんだ…?」
elから違和感を感じる。
が、疑問に思ってはいられない。
柱へ、ネオンの元へ、封印へ一直線に飛んでいくセイレーン。
ネオン「セイオーーーン!!」
ネオンの声と同時、セイオーンはセイレーンへ体当たりを試みる。
も、セイレーンは軽々と回避。
一瞬で柱へと到達する。
ネオン「くっ…」
ネオンの両手が光る。
結界を作るつもりだ。
el「駄目、術式が荒い」
ネオン「え?」
ネオンの結界が発動しない。
ネオン(結界を…魔法を無効化した?どうやって?魔力も無いのに?そんなそぶりも…)
わからない。
何をしたか、何が起こったか。
そして、
『パリィィイィィン』
封印結界が砕かれる。
勢いのついたセイレーンと肩に乗っていたelは柱を通り過ぎ、そのまま水の方へと落下を始める。
el「私の…勝ち…です」
elが光る。
全身が光り、金色の光になり、消滅していく。
魔力が切れ、分身は消えゆく。
ゴーレムも、elと契約していたセイオーン・レーンもまた、色を失った。
水の中へ落下していく。
ネオン「はぁ…はぁ…今のは…私の負けって…?」
ネオンは落下していくゴーレムから、破られた赤き封印結界へと目を向ける。
その中には、青く揺らめく人の姿が。
ネオン「…………」
驚きと恐怖と、走る嫌な予感で声が出ない。
???「セイオーン、すぐに…契約しなおします。少し待ってて下さい」
赤い水晶のような結界は割れ、中から人が出てくる。
いや、人ではない。最強の兵器が…出てくる。
思わず後ずさりするネオン。
柱の端っこ、後一歩で落ちるという隅まで下がる。
一歩、一歩。ゆっくりと青き髪の女も前へ進む。
ネオン「は…ぁ……」
エスタ「どうします?戦いを…続けますか?」
形勢は逆転か?
ネオンは焦りを止められない、逆にエスタは穏やかで無表情。
ネオン「はぁ…はぁ…セイオーン…。セイオーン!!!」
ネオンの言葉に鼓動し、エスタ目掛けて襲い掛かるセイオーン。
柱の大多数を巻き込む形で、全身をぶつけるつもりで襲い掛かる。
が、
『ザシュッ!!』
何をやったのかはわからない。
しかし、柱に到達する直前で、セイオーンの首が吹き飛んだ。
大きく、高く飛び上がった首は柱を通り過ぎていく。
ネオン「え…?」
エスタ「再生はラスト1回。これで最後ですね」
ネオン「………」
もはや、恐怖がネオンを支配する。
勝てる気がしない。
でも、無駄な抵抗でも、あがかないといけない。
もはやあがくことだけを考えてしまう。
ネオン「セイオォォォン!!!」
最後の再生を果たし、大きく顔を上げたセイオーンは口を一杯に開き、喰らいつこうとする。
大きく見える牙。
が、
『バシャァァァァァァァァァァン』
ウインザード・セイオーンは粉々に吹き飛んだ。
ネオン「あ…ぅ………」
エスタ「私は…セイオーンよりも、強いですよ」
これが究極兵器の力。
古代の戦争で、勝利をもたらした兵器の力。
再生はもう出来ない。
力を使い切ったネオンは敗北した。


エスタ「大丈夫ですか?」
あれから数分。
ネオンが落ち着くのに時間がかかった。
エスタへの恐怖と興奮はかなり強く、そばにいられるためになかなかとけない。
エスタがこれ以上戦う意志は無いと説明してもだ。
エスタ「すみません、私にはすべきことがあるので…」
勝ってしまったことへの侘び。
ネオンはゼファーラという魔女を探すために、呪いを解くためにリオ・パレスのために戦った。
決して悪事を働こうとしたわけではない。
それが分かっているから、彼女の邪魔をしたことに悪い気がした。
エスタ「すみません…」
ネオン「…。悪いの、私だから…」
しょんぼりした顔。
まだエスタを恐れているからではない。
負けたこと、リオ・パレスのメンバーとして約束を果たせなかったことを悔やんでいる。
エスタ「………。魔極の瞳を使った時、感じたことがあります」
ネオン「…?」
ネオン(魔極の瞳?)
エスタ「あなたの身体に…呪いなどというものは見当たりませんでした」
ネオン「!?」
エスタ「今もです」
エスタの発言はネオンには衝撃的なものであった。
そして、それは続く。
エスタ「…あなたがその姿のままの理由…。他にあるような気がします」
ネオン「………」
エスタ「その他というのはわかりませんが…、ゼファーラならわかるのでしょうけど…」
ネオン「呪い…じゃない……」
エスタ「ええ、きっと…」
ネオン「呪いじゃない…」
頭の中を整理できない。完全に混乱してしまっている。
ネオン「…ね、ねぇ!ならあなたなら私を元に戻せるってこと?」
エスタ「…理由がはっきりすれば」
ネオン「ほ、本当!!」
エスタ、無言で頷く。
ネオンに希望が見え始める。
長い長い暗闇の果てで、わずかに光が差し込んだ。
ようやく見え始めた兆しだった。
ネオン「そっ…か……」
呪いが原因かそうでないか…それは今の彼女には些細なこと。
今は何より、元に戻れる可能性があることを知った喜びが強かった。
ネオン「元に戻れるんだ」
エスタ「…はい、必ず元に…戻れます」
ネオン「そっか…そうなんだ。ははっ…はははっ…」
ネオンの目から涙が。
悲しいからじゃない。嬉しいから。
可能性を手にしたに過ぎないのに、それを幸せと感じる。
『バシャァァァァン』
契約が切れたセイオーン・レーンが水の中から浮上。
エスタの魔法で持ち上げられ、柱の、エスタの目の前まで浮き上がってきた。
再び契約を。
と、心の準備をする。
ネオン「エスターシャ=ロ−ネ」
エスタ「はい」
ネオン「私のゴーレムも…連れて行ってあげられないかな」
エスタ「え?」
ネオン「もう魔力も無くて、…粉々でかわいそうだから」
エスタ「………」
ネオン「融合変化…っての、聞いたことある。あなたならそれもできるんじゃないかなって…」
エスタ「融合変化…」
ネオン「駄目…かな」
エスタ「融合変化は特定のゴーレムが持つ能力。私には出来ません」
ネオン「そっか…」
エスタ「ですが」
ネオン「え?」
エスタ「ですが、融合契約というのなら…できるかもしれません」
ネオン「融合…契約…?」
エスタ「契約変化時、ゴーレムは契約者の想像するモノへと変貌します。その瞬間に、変化している瞬間に他のゴーレムを取り入れるのです」
ネオン「そんな方法が…」
エスタ「理屈として可能なだけ。…過去に実行されたことはありません」
ネオン「それでも…お願い。連れてってあげて」
少し迷う。ゴーレムにとってそれが幸せなのか?と。
しかし、ネオンの思いはまっすぐで、きっとそれが正しいのだ。
そう感じる。
エスタ「はい、やりましょう」
ネオン「ありがとう」
ゴーレム『我ト契約セヨ』
エスタは頭に思い浮かべる。
究極のゴーレムの姿を。
セイオーン・レーンを作ろうとしたときも同じものを思い描いた。
でも、結果は失敗で、生まれたものがセイレーンの姿のゴーレム。
今度は…成功しなきゃ。
なぜか、失敗する気がしない。絶対に成功する、心の底からそう思った。
理由は分からない。
ゴーレム『契約成立』
エスタ「おいで…」
ネオン「おいで…」
エスタ&ネオン「ウインザード…」
二人の声が粉々のゴーレムにも届いた。
ウインザードの欠片は変化中のセイオーンの元へと集まっていき、
白く強い光を生み出す。
エスタ「成功…ですね」
ゴーレムの姿はまだ見ていない。
でも、なぜかわかる。
その傍らで、ネオンは呆然とゴーレムを見つめる。
空いた口がふさがらない。
エスタもゴーレムを見上げる。大きなゴーレムを。
エスタ「水の精霊、究極のゴーレム。…セレナレナ」
ネオン「セレナ…レナ……」
青く白い、そのゴーレムは今までのゴーレムとはまるで違った…。


エレメンタル・フィールド、通称Eフィールド。
中へと転送されたエスタ、そこで見た者は…。
???「グゥゥゥ。グゥゥゥ…」
エスタ「………」
歩み寄る。
緑色の神の少女。
エスタ「寝てる…」
???「むにゃ〜〜…」
寝ていた。
エスタ「あの〜…」
???「にゃう…」
起きない。
まだ何者なのかもわからない。
エスタ「あの、起きてください」
???「グゥゥゥ…」
エスタ「………」
呆れる。
エスタ(あまりこういうこともしたくないのですが…)
エスタ「あの!!!」
???「うにゃ!?」
大声で、ビクッと飛び起きた。
???「ん〜、なにぃ〜?」
エスタ「えっと…、あなたは…どちら様でしょうか?」
???「ああ、ええと…御主人様ですねぇ〜」
エスタ「御主人様?」
セイリィ「はいぃ〜、私“セイリィ”っていいますぅ〜」
エスタ「セイリィ…ですか」
セイリィ「えっとぉ、何だっけ?元セイオーンの人格でぇ、…うん、人格なんですぅ」
エスタ「はぁ、あのセイオーンの…」
セイリィ「えっとぉ詳しいことは…」
『ポンッ』
手元に本を出し、それをエスタに差し出す。
セイリィ「これ読んでくださいぃ〜」
エスタ「はぁ…どうも」
本を受け取り、そちらに目をやる。
そこにはEフィールドのこと、Eローブのこと、リミッターのこと、そして彼女セイリィのことも書かれている。
エスタ「具現化イメージ体…ですか。それもセイオーンの」
返事は無い。
エスタ「?」
セイリィの方へ目をやると、
セイリィ「ぼ〜〜〜〜」
ボーーーっとしていた。明らかに何も考えていない顔。
今にも寝てしまいそうだ。
エスタ「………」
エスタ(セ、セイオーンってこんな子だったのですね)
呆れるしかない。
エスタ「え〜っと…エレメンタル・ローブ発動!!」
やる気の無いセイリィのせいで全てを自分でこなさなければならない。
声を高らかに挙げると、彼女を光が包み、衣装が変わる。
ローブへと。
エスタ「でも、これならシルフィとも戦えそうです」
「でも」というマイナス点は言うまでも無くセイリィのこと。
エスタ「さて、行きましょう」
気合を入れ、いざシルフィの元へ。
セイリィ「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ…」
セイリィは寝ていた。
エスタ『ネオン』
最後に、外にいるネオンへテレパシーを送る。
エスタ『行って来ます』
ネオン『うん、気をつけて』
エスタ『はい』
ネオン『どっちを応援したら良いのか分からないけど。…でも、絶対に死なないで』
彼女の立場は分かる。自分の身を案じてくれる彼女の気持ちがありがたかった。
エスタ『フフッ、はい』
最後にゴーレムセレナレナで手を振り、その場を後にする。
ネオン「…ありがとう、エスタ。本当に…ありがとう」
ネオンは、セレナレナの後ろ姿をいつまでも見送り続けた。


エスタ「シルフィはどこに?」
他の敵には構うつもりはない。
狙うはシルフィただ一人のみ。
シルフィの気配にのみ、意識を集中していた。
エスタ「シルフィ…」
シルフィン=アビス。
かつての友。
自分と同じ究極兵器という存在。
最も自分と縁がある存在で、それ故に自分がどうにかしなければならない存在。
例え、世界征服を誰かが行おうとしても、エスタには関係ない話。
水の都さえ無事ならばどうでもいい、そう感じている。
そいあし、シルフィが絡むとなると話は別。
シルフィだけは止める。
止めなければならない。
誰かに頼まれたわけでもない、そう作られたわけでもない。
ただ彼女の個人的な思いで、それだけ彼女の中でシルフィという存在は大きい。
友であった時もあって、共に戦ったときもあって…。
そして、
エスタ「シルフィ、あなただけは私が…手を下す」
敵対したこともあった。
憎しみ合いからではない。
シルフィはエスタの後に作られた究極兵器。
エスタより強力な兵器としてさらに改良、魔力も込められて作られた。
結果、日が立つほどに不具合が起きだし、暴走する。
人格は崩壊し、戦争での経験か破壊行為を主とする人格へと変貌してしまう。
そんなシルフィを暗い闇へ封じたのが…エスタだった。
恨みなど無い。
悲しいけど、そういう運命であったと受け入れてその後暮らすことしか出来なかった。
同じ身でありながら、破壊の限りを尽くす存在となったシルフィの目覚めを誰よりも望まず、永遠に眠って欲しいと思っていた。
もうシルフィに破壊行為などしてほしくなかったから。
そして、こうして目覚めてしまった結果、もう再び封印することなど不可能なこと。
封じたとしてもまた誰かが呼び覚ましてしまうとも考えられる。
だから、
エスタ「あなただけは…この手で…」
自分の手を黒く汚してでもシルフィを倒す。
その決意があった。
???『何年ぶりか…』
エスタ「!!」
???『1万年だったな…。お前は地を生き、様々なものを見た。…俺は暗い狭間で闇の色しか見ていない』
セレナレナを空中停止させる。
エスタ「シルフィ…」
シルフィ『せっかく誘ってやったのにな。お前だけは俺と共に来て欲しいと思って…』
エスタ「シルフィ…」
会うのが辛い。
心が痛い。
シルフィ『お前はあの時断って…仕方ないから封印した。戦わなくて済む様にな』
エスタ「………」
シルフィ『そして、お前は俺に戦いを挑もうとしている』
エスタ「……ごめんなさい、シルフィ」
シルフィ『俺はお前と戦いたくは無かった。なのに、お前はぁ!!』
エスタ「ごめんなさい!!!」
エスタの目から涙が零れ落ちる。
わかっていたはずなのに…予想していたのに…止まらない。
シルフィ『いいさ。もう未練は無い』
エスタ「……?」
シルフィ『…お前を殺す』
エスタ「…!!」
痛い。
自分に耐えられない痛みが走る。
辛い。物凄く辛い。
シルフィ『これで…さよならだ』
エスタ「……シル…フィ……」
前方で竜巻が舞い上がる。
その中から姿が…。
エスタの目に映るはゴーレムと…シルフィン=アビスの姿。
シルフィ『来い、エスターシャ=ローネ!!』
エスタ「シルフィ…」
エスタ(あなたを殺さなきゃ…殺さなきゃ…)
吹っ切れない思い。
決意していたはずなのに、決意が揺らぎ始める。
シルフィ『来い!!』
エスタ「…はい。シルフィ…あなたを倒す!!」
揺らぐ思いの中で、気持ちを押し殺しながらそう口にした。
張り裂けそうな胸を必死に押さえながら。


シルフィン=アビス。
瞳を閉じた青年。
そして、彼の操るゴーレム、名は“ヴァンヒューラ”。
能力は不明。
しかし、
シルフィ「俺のゴーレム、ヴァンヒューラはなぁ、俺の力を100%引き出すことが出来るんだよぉ!!」
最強の兵器の力をフルに発揮することが出来るようだ。
上昇していく2体のゴーレム。
どうやら対決までの秒読みの様子。
上へ上へと上がっている間、エスタはシルフィをじっと見つめていた。
エスタ「シルフィ、あなたはまだ目を閉じているのですね…」
かつてエスタに封印された時のこと。
圧倒的な力を持つシルフィは倒すどころか封印も困難なもの。
エスタ(それを封印できたのは、最後の理性でシルフィが目を閉じてくれたから)
シルフィはまだ目を閉じている。
目に隠された力を、まだ発揮していない。
エスタ「魔極の瞳!!」
elの時同様、目を青く輝かせた。
今度は最初から使うつもりのようだ。
シルフィ「魔極の瞳かぁ、面白い。俺の目が開く前に、俺を倒しちまえよ」
エスタ「………」
おどしか。
しかし、気になる発言が。
エスタ(もうすぐ…目が開く?)
嫌な予感を感じるエスタ。
目を開いた時、シルフィの目が開いた時、どんなことが起きるか…。
エスタ「…行く!!」
戦いはいきなり始まる。
合図など無い。
しかし、攻撃しだしたのはまったくの同時。
そして、戦いは激しい攻防を広げる。
二人とも、戦いのセンスも力も技術も、全てが最高値。
まさに究極の戦いといっても過言ではないだろう。
機体の性能を最大限に引き出し、早過ぎる動きをしっかりとコントロールしている。
右で衝突したと思ったら、次は左で衝突している。
極限までの速さと状況把握。
究極兵器として作られたが故にできる反応。
全てが恐ろしいまでに凄い。
エスタ(セレナレナ…。ゴーレムの性能はこちらの方が上なのに…)
圧倒的な強さを誇る精霊型ゴーレム、セレナレナ。
それをエスタが操縦している。
この組み合わせに敵などいないはずなのに。
エスタ「押されてる…」
なんと、エスタは押されていた。
セレナレナの性能を引き出せていないわけではない。
むしろ最大に引き出しきっている。
それなのに、シルフィと新型ゴーレムが上を行く。
エスタ「きゃっ!!!」
一瞬、油断と呼べるほどではないはずの一瞬の気の緩みの瞬間に、一撃を入れてくる。
エスタ(強すぎる。…目を閉じてるのに…閉じてるのにこれなんて…)
もし目が開いたら…。
エスタ「シルフィにあれを使われたら終わりだわ…」
アレというのはまだ不明。
しかし、使うまでもなく現時点でもヤバイ。
エスタ「使う…」
攻撃をやめ、回避に専念を始める。
何かを行うための精神統一の時間を作るつもりか。
シルフィ「…?」
セレナレナの…精霊型ゴーレムの能力。
いや、真なる力というべきか。
エスタ「リミッター解除!!」
エスタの声が高らかに舞うと、セレナレナが少し変形を始める。
青い光を放つゴーレムとなって…。



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キャラ&ゴーレム紹介です


セイリィ(アイコンの女の子)
上のを読んでもらえたなら分かるキャラです。
セレナレナの具現化人格。
基本的にやる気なし、無関心、無欲。
普段はぼけ〜っとしていて、目を離すとすぐに眠りこける。
主人の発言すらも聞き逃すこと多々。


セレナレナ
全長20M。
水の精霊ゴーレム。
性能はエストレイアと同等。
能力もほぼ違い無し。


さて、今回もまだあります。
エスタさんのEローブ&魔極の瞳バージョンです。
ええ、凄いですよぉ〜。



[エレメンタル・ローブ&“魔極の瞳”モード]


どうでしたか?
キサラの時もそうでしたが、今回はネオンも、そしてエスタも甘く辛い思いをします。
このワルツ編も意外と様々な思いが交錯してるもんなんだなと描いてる自分も感じました。
楽しんでもらえたなら光栄です。
さぁて、近い内にシルフィとそのゴーレム、ヴァンヒューラの紹介をしたいと思います。
絵も描かなきゃいけないんで、期日は未定ですけどね。
お楽しみに〜。