kanariya022006-03-11

今回は、キサラ=セルエルの紹介です。
皆のフロア大戦中編は明日になります。
ご了承ください。
今回のキサラさん、かなり長いです。
かなり省略してあるんですけどね、それでも長いw
ただ、ステア以上に初めての解説が多いんで、キサラを知りたい人(いるかな?)にとってはなかなか見ごたえあるかも…と。
長いんで折り返させてもらいます。
なんかこのブログ、長いのばっかな気もしますが。
根性で読んでください(おい)



アレスティア王国からは遠く遠く離れた国で、戦争もない弱小国。
宗教行為が発達していて、国民全員が宗教というものに加わっています。
キサラもその国の市街で育ったため、生まれた時からの習慣で朝と夕方に神への祈りを欠かせずやっています。
豊かともいいがたく、強い魔法使いや兵士も少なく…そのために、町を荒らす者達も度々姿を現すようなそんな所です。
強い魔法使いが少ないため、魔力の基準が低い街では、キサラが強い魔力を持っていることに気づくものはいませんでした。
キサラが初めて魔法を使ったのは6歳の時。
大人達が使っているのを見て、真似しようと思ったのです。
ちょっと指から火を出そうとしただけ。ただそれだけのつもりでした。
しかし、魔法を使ったことすらなく、自分が強力な魔力を秘めていることすら知らない幼い少女。
魔力をコントロールできず、大きな炎を出してしまいます。
炎はキサラの右腕を包み焼いてしまう。
悲鳴を上げるキサラ、大人達はキサラに気づくや水を拭きかけ炎を消そうとしました。
火はすぐに消え、事なきを得る。
しかし、キサラの右腕には大きなあざが残ってしまいます。
黒く、禍々しいあざが…。
事件の後、医師に見てもらうと決して消すことは出来ないだろう…そう言われました。
キサラのあざの残る右腕には同時に封印も施されました。
魔法を使えなくする封印。
しかし、
「君の魔力が大きく、封印は完全には行えない。…もし、君が封印をとこうとすれば、おそらく解けてしまうだろう」
と。
右腕のあざは戒め、自分の右腕の有様を見た時、魔法を使う意欲は起きなくなりました。
次に魔法を使ったのは…12歳の時のことです。


12歳になったキサラ。
この頃になると、同世代の子供の中に魔法を使える子もいて、将来を期待される子も出て来ます。
将来有望な子供たちは明るく未来へと歩む中で、キサラは魔法が使えず…いや、魔法を使ってはいけない身。
そのためか物静かで内気な女の子へと育っていました。
勿論、右腕を覆う黒いあざの影響もあります。
人に見られたくなく、そのために人を避けたりも…。
ただ、内気ななりに仲のよい友達がいて、その子達と仲良く遊ぶのに満足もしていました。
弱小国として国の警備、守りが弱いこと。
そのために、盗賊集団による盗み行為もこの国では多発しています。
この年のキサラはその盗賊と出くわしてしまったのです。
それはいつも通り静かな夜。
家の中で、自室にいたキサラは趣味のタロット占いをしていたところ。
「! なに? 凄い数…それに…嫌な感じ」
すぐ近く、街中をうろつく盗賊達の気配をキサラは感じ取っていた。
魔力を感知する能力をキサラはいつの間にか身につけているようだった。
それはキサラ自身も気づいてはいない。
そして、彼女の魔力が良い前よりはるかに増していることにも…。
「………」
タロット占いの結果に目をやる…と、不安がよぎるのでした。
『ガシャーン!!』
キサラの部屋の窓が割れる音が鳴り響きます。
「キサラ!!」
キサラの父が部屋に駆けつけたとき、部屋は空で、キサラの姿はありませんでした。


「なんでこのガキ、連れてきたんだ?殺しゃあ、良かっただろ」
「殺す必要はないだろ、俺には盗み以上なんてできねぇよ」
「ふんっ、ならとっとと返しとけよ」
隠れアジトの盗賊達のやり取り。
キサラは気を失わされてるわけでもなく、ただ縄で縛られてるだけだった。
この人達…そんなに悪い人たちじゃない…。
連中のやり取りを聞いたキサラの思い。
ボロボロの服で、太った者もいず、むしろやせた人ばかりの盗賊団。
その姿、やり取りでこの人達も大変な思いをしていることがキサラにはわかったのです。
「怖いか?」
盗賊の一人が話しかけてくる。
「…うん」
「わりぃな。すぐに返してやるからな」
にっこりと微笑む盗賊の顔は怖いこの状況の中で、不思議な感触を感じさせる。
「! 何か来る。強い…これは魔力?」
「何?」
キサラは何かを感じ取った。
キサラは話す。何かが来ることを…。
国の、数少ない上級魔法使いの訪れを予期したのだ。
盗みを働いただけではなく、キサラを誘拐したこと。
それが魔法使いを呼び寄せた原因となったのでしょう。
戦いはすぐに始まった。
盗賊達と魔法使いとの戦い。
数は盗賊の方が上。しかし、実力に差があり盗賊達は魔法使いの前にひれ伏すこととなります。
「やめてぇ、やめてぇ〜!!!」
少女の叫びは届かず、盗賊達は地にへたばり、…死んでいく。
王の命令なのでしょう。人をさらうようなやつは命を奪っても構わないと。
だから、殺す。
凄惨な光景が少女の脳裏に焼き尽くされたのでした。


「神様、私…どうしたら…強くなれますか?」
事件の後、再び平和は残った。
しかし、キサラには深く心に傷が残る。
魔法使いがどこか許せなくて、でもせめられるわけでもない。
何が何だか分からなくなっていた。
教会、神に疑問を問いかけます。
この頃からキサラは国の兵士、魔法使いを避けるようになっていた。
凄惨な光景がいつでも甦ることもあり、魔法使いを見ると睨みつけるようにもなった。
そうして日々すごしているとどんどんと魔法使いへの敵対意識も高まり、その態度に自然と周囲はキサラを避けるようにもなる。
そして遂には人との接触を断ってしまう。
家の中で、一人殻に閉じこもって…。


それから十数日。
自分というもの、強さ…それを日々考え続ける。
「もう…封印取れちゃいそう」
キサラの魔力はここ数日でさらに増している。
いつ封印が解けてもおかしくない、本人も感じ取っていました。
「私って強いのかな?…でも、今の私は…嫌い」
「……遊びたいな、外で。一人でも良いから」
まだ12歳の女の子。色んな悩みがある。
タロット占いをする。と、「北へ…」との結果が。
親がキサラの部屋へ訪れた時、キサラの姿はありませんでした。


北。どこまでを指してるのかは定かではない。
ただキサラは、国の外の山にまで足を踏み入れます。
森で覆われたその山は虫も動物も姿を見せない。
何もいない。不自然な現象だが、キサラにはまだそれを疑問に感じるほどの判断力はありません。
封印は解け始めている。彼女の魔力が流れ出ていることに。
強い魔力を感じた動物や虫は彼女を避け、遠くへ移動したのでした。
山を登っていくキサラ。と、
「! 何かいる…強い?…いや、弱い」
「ガウ…ゴォォォォ!!!」
激しい雄たけび。
声の正体は巨大な竜。
赤く、今にも炎を吹きかけてきそうな竜。
竜はキサラの姿に警戒を取る。
キサラの目にもその姿は大きく映り込んだ。
本来はこのようなものを目にすると恐怖を感じるでしょう。
が、キサラにはそのようなものはなく、そのまま登り歩き、近づいていく。
小竜の姿も見える。
子供を守るために、こんなに私に警戒を…。
母竜のそばまで来て気づいた。
怖いんだろうけど…悪意のない竜の自然な姿がキサラの好奇心を刺激する。
「お願い、乱暴はしないで。あなたじゃ私を殺せない、そんな気がするから。それに…封印も解けちゃうよ」
キサラが何を言ってるか竜には分からない。
…はずだが、竜には理解できたようです、そして彼女が敵でないことも。
竜はキサラを受け入れました…。
あれ以来、キサラは竜に毎日のように会いに行くようになりました。


ある日。
「今日は…厄日だよ」
暗示のカードを竜に見せる。
悪いことは良く当たるという性分、理解してきたようです。
足音がする。かなりの数の足音。
そして。
キサラと竜の前には大勢の魔法使いがいた。
竜の捕獲。キサラの救出をするという名目で実行しようとしているのです。
大人数の魔法使い、竜を捕縛することぐらいわけはないでしょう。
キサラを保護し、竜を捉えようと動き出す魔法使い達。
「何を言っても無駄だろうから。…動かないで、私がどうにかする」
「この前みたいなのは嫌だから…、私は強くなる」
白い光が辺りを包み、少女の封印が解ける。
魔法使い達が目にしたのは白い光の翼が生えた少女の姿。
それは天使と呼ぶに相応しいものでしょう。
キサラの右腕、黒く焼けた腕は白い風の中で見る見る内に消えていく。
淡く美しいその姿。
見とれてもいいぐらいの景色は未知なる存在として魔法使い達に恐怖を与える。
巨大すぎる魔力。
キサラが化け物なのは、全ての魔法使いが一瞬で認知した。
戦いを挑んで良いレベルではない。
これからどうやって生きて逃げ延びるか…思考はそれしかない。
キサラには攻撃の意志はない。
攻撃するまでもない。
尻尾を巻いて逃げる魔法使い達。
キサラは彼等には目もくれない。別のことを考えていたのですから。
自分が強いことは分かった。この魔力があればどんな相手だって倒せることは分かった。
しかし、彼女の心はまだうつろなままです。


5年半の時が過ぎ、キサラ18歳。
キサラは自分に自信を取り戻し、本来の生活にも戻っていました。
週に一度、教会へ赴き、祈りをするようにもしています。
しかし、長い年月が流れても、いまだ強さとは?正義とは?
彼女の答えは出ていません。
「答えは出たかな?」
神父のお言葉。
「いえ、今もなお…探し続けております」
「そうですか。あなたにお渡ししたいものがあります」
「?」
神父はキサラを呼び、部屋の一室へ連れ込んだ。
大きな部屋、そこには鎧のようなものが…。
鎧に近づくと、
『我ト契約セヨ』
声がする。
「これは?この声…」
「おお、やはり声が聞こえますか。これはゴーレム」
「これが…あの!?」
「あなたなら契約できると思いましてな。知人よりゴーレムを預かり入れたんですよ」
「私に…契約を?」
「ええ」
「…………」
キサラならゴーレムを正しい道に使ってくれる。
なにより、このゴーレムを用いてキサラの求める答えにたどり着いて欲しい…それが神父の願い、想い。
「…ありがとうございます。正義のために…使えるならば」
契約変化。ゴーレムの姿が変わり始める。
「ウェルヴァニラ…神聖なる竜よ、よろしくお願いします」
ゴーレムは赤き竜となりました。


「いよいよ明日…ですね」
占い、結果からの言葉。
ここ数ヶ月、色々占って最終的に明日という日に当たっているようです。
決していいことではなく、おそらく悪いことが。
それもなにかとんでもないことが起きる、予言から間違いなくそう受け取れます。
しかし、キサラには逃げようなんて考えはありません。
真の正義を、真の強さを求める者として、明日という日を受け止めるでしょう。



さて、どうでしたでしょうか?
激長ですね、すいません。
キサラはリン姫やステアと違って平民出でかつ正義を目指すキャラなので事情が複雑です。
また、リン姫やステアより年いってる分、色んな出来事に遭遇してますしね。


フロア大戦では正義のお姉さんとしてひみろなんかと絡むんじゃないかと予想しますがどうでしょう?
熱く、そして優しさを持ってるから人気あると思うんですが、早く出てきて欲しいですね。