kanariya022006-03-24

今回はみんなのフロア大戦、狂気の肝試し後編をお送りします。
後編ですよ、後編。
下の前編中編を見てからご覧くださいですよ。
肝試し…なんですが、ちゃんと成立してるのやらどうなのやら…。
落ちはあるのかないのか…。
リン姫やひみろはどうりゅい達に対応するのか…。
気になるところもあるでしょう。
色々膨らませながら読んでみてください。
今回も感想希望w
ではでは、参ります。どぞ〜
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江藤「次、15組目!!」
あれからかなりの時が経過した。
セフィーとリン姫のおかげで、りゅい達の所業は弱まり、怯えおののくも皆帰還はしている。
江藤「アルクス、マキ!!」
次のペアがスタートする。
と、同時に帰って来た組も。
ミコト「あの…着きましたよ。……大丈夫ですか?」
ミコトに抱えられた男。
岩城「う…ぐ……、ああっ、大丈夫だ、……大丈…夫」
『バタッ』
ゴールするなり、倒れこむ。
ミコト「ちょっ、岩城さん!!」
慌てふためくミコト。
そんな光景を遠めに眺める面々。
ネネコ「大丈夫かな、あれ?」
ひみろ「ゴールして緊張が取れたための反動だ、別に気にすることは無い」
ネネコ「そっかぁ〜」
セフィーの言う通り、ネネコ達の順は最後の方に回されていた。
そのため、待ち疲れてだれている。
ジャッキー「ふわ〜、ったくラビの野郎、とんでもねぇな」
ヘレナ「ジャッキー、女の子に向かって野郎はないでしょ」
キャス「でも、私は楽しかったよ〜」
ジャッキー「あれが楽しいってお前おかしいんじゃねぇか?」
キャス「なによぉ〜、ジャッキーこそビビリなんじゃないの!?」
ジャッキー「ち、ちがうってーの!!」
ヘレナ「あら、私から見てもあなたの怖がり方は尋常じゃなかったわよ」
ジャッキー「なっ……」


アヤメ「腕、大丈夫?」
ホフル「ああ、コリンに傷薬を塗ってもらった」
ホフル「驚くほど効くものだな」
アヤメ「…あの魔女のよね。……まぁいいわ、無事なら」
ホフル「それより、あいつらの番はまだか?」
アヤメ「えっ?」
ホフルはひみろ達の方へ顔を向ける。
それであいつらが誰を指しているのか理解できた。
アヤメ「え〜と、あと残ってるのは女性ではあの3人と…エルティーネだったかしら」
アヤメ「となると、…次ぐらいからじゃない?」
ホフル「…そうか」
アヤメ「あの3人何かあるの?」
ホフル「いや、気にしなくて良い」
アヤメ「…ふ〜ん」


ネネコ「ふわぁぁぁぁ」
あくびをする。
ネネコ「もうそろそろだよね?眠たいなぁ〜」
ひみろ「ああ、もう…だな」
ひみろはリン姫の方に目をやる。
リン姫の出したルールについてはこの二人にも伝わっている。
そのリン姫はずっとなにもせず、目を閉じた状態が続いている。
寝てる…というわけではなさそうだ。
ひみろ「………」
江藤「次、16組目!!」
江藤「南田、リーン姫!!」
ひみろ「………」
リン姫「………」
目をすっと開き、立ち上がる。
セフィー「姫様…」
リン姫「さて、ようやく妾の番じゃな」
ひみろ「リン姫…」
リン姫「おそらく、お主と似たようなことをやると思う」
ひみろ「………」
ネネコ「リンちゃん、いってらっしゃ〜い」
リン姫「うむ、行ってくる」
スタート位置へと進む。
南田「あ、あの……」
自信なさげな南田、相手がリン姫というので余計に舞い上がっている。
南田をまるで相手にしない感じでスタートの合図を待ち、
江藤「スタート!!」
合図と同時に足を前に出す。
南田「あっ…」
南田、リン姫の背中を追いかけるようにしてスタートした。


セフィー「…ひみろ、姫様の言っていた『あなたと似たようなこと』とは?」
ネネコ「あっ、それわたしも気になってた」
ひみろ「ああ、簡単だ」
ひみろ「肝試しらしく、恐怖を味わわせようとしてるんだ」
ネネコ「?」
ひみろ「りゅい達にな…」
セフィー「りゅい達…に?」


南田「あの、…ちょっと待って…ください」
強い足取りでどんどんと進んでいくリン姫。
に、南田は怯え腰でびくつきながら必死で追いかける。
まるっきり相手にされてない。
南田「もう少し…ゆっくりになりませんか?」
リン姫「怖いか?」
南田「え?」
リン姫「男のくせに…」
南田「いや…怖くなんかないです!!ないです…よ」
強い男をアピールしようとするも、怖さは隠しきれない。
さらに強がってもリン姫は見向きもせずに前を歩いていってしまう。
恐怖とリン姫のそっけなさに南田は男らしさを知らしめることが出来ずにいた。
と、すっと立ち止まり、南田の方を向く。
リン姫「妾の肩に掴まれ」
南田「え?」
リン姫「置いていくわけにも行かぬし、お前に合わせて歩く気もない」
そう口にするや否や再び、顔を戻し歩き始める。
南田「あ…じゃあ、……失礼します」
リン姫の肩にそっと手を掛ける。
ゴクッとツバを飲む。
相手はプリンセス、ちょっとした気遣いの無さで怒られないか不安でならない。
しかし、リン姫は南田のことなど気にもかけず、何事も無く進んでいく。


あれから、かなり経ってからのこと。
もうすぐ墓地ゾーン突入というところか。
リン姫「この先で、何があっても目をそむけるな」
リン姫が突然話かけてきた。
リン姫「どんなに怖くても前だけを見よ。それも難しいなら妾だけを見ておれば良い」
南田「…?」
リン姫「妾がお主を守ってやる」
南田「は…ぁ……」
もうすぐ墓地ゾーン、りゅい達と遭遇する。
それを踏まえての説明のはずなのだが、もはや告白にしか聞こえない。
そして、りゅい達のいる墓地が見え始めた。


ラビ「ふぅ〜、数多いね…次は?」
数多くのペアを脅かしてきていい加減疲れているようだ。
バニ「あっ…もうすぐだよ」
見張り役のバニ、目を凝らして誰なのかを探る。
バニ「…あっ、リン姫だ!!」
りゅい「…!」
ラビ「き、来たんだ…」
静まり返る一同。
バニ「や、やるのぉ?」
バニ、緊張か怯えか…体を震わせる。
ドキドキを隠せない。
りゅい「…当然!!やるぞ」
『ジャキン』
爪を突き出す。
ラビ「いきなり!?」
りゅい「当たり前だ。もうばれてるからな」
りゅい「小細工は無用!!」
バニ「う〜〜〜ん…」
ラビ「………」
ラビ、コリンの方をちらっと見る。
ラビ「コリンちゃん、今度は止めないでよぉ」
ラビ「デスサイズ!」
『ギランッ』
デスサイズを出す。
先ほど痺れ粉を使われたのを根に持っているようだ。
コリン「リンちゃんが全力で来いって言ったから止めはしないけど…」
コリン「やめた方が良いと思うよ」
バニ「って……」
バニ「コリンちゃんはやらないの?」
コリン「へ?」
コリン「私はやらないつもりだけど」
ラビ「ええ!?」
バニ「そんなぁ〜…」
コリン「だって、リンちゃんと闘いたくなんかないんだもん」
バニ「う〜〜〜」
反論できない。
コリンの意志も尊重できるし、それ以上に必死で説得しようとしている場合でもないのだろう。
リン姫は間もなくこの場に現れるのだから。
ラビ「はう…なんかやりたくない……」
バニ「怖い〜〜」
コリン「皆…無理はしないでね」
なぜか負けムードが漂う。
それだけリン姫が強敵だと踏んでいるのだろう。
りゅい「こっちは3人だ。楽勝だっての」
唯一強気なりゅい。
しかし、汗が流れ落ちている。
緊張は隠せていない。
コリンを除く3人はリン姫戦に備え、攻撃のポーズも構えるのだった。


『カタッ…カタッ』
墓地に足音が鳴る。
リン姫達がついに入ってきたようだ。
りゅい、指を縦に、目の前へ持っていく。
りゅい「樹羅・妖華染(じゅら・ようかせん)」
赤い霧が発生する。
クラノス組に使われていたものと同じ赤い霧だ。
周囲一体を霧が満たし、視界が赤に包まれる。
南田「な…なんだこれぇ!!」
リン姫「………」
慌てふためく南田。
それに対しリン姫は霧に包まれようとも気にせず前へ進む。
コリン(無駄だよ…)
『ギラッ!』
リン姫、目をギラッとさせる。
一見、ただ凄く目を開いただけの感じ。
しかし、
りゅい「なっ!?」
ラビ「霧が…解けた」
そう、一睨みでりゅいの樹羅・妖華染を破った。
コリン(そう、セラは眼力だけで中級魔法程度なら打ち破れる…)
コリン(こと妖術や魔術の類は私達魔法使いの文化のが上)
コリン(りゅいちゃんの妖術も…ラビちゃん達の魔術も…)
コリン(リンちゃんには絶対に通用しない)
りゅい「くっ…う……」
妖華染を破られただけだが、それでも相手の強さを思い知らされるには十分だった。
りゅい達が戸惑いを見せる中、リン姫はずしずしと墓地を歩んでいく。
周りを見回す南田、勿論りゅい達も視界に入る。
りゅいの長い爪、ラビの大鎌。
それらが視界に入るとおもわず、
南田「ひぃ!!」
となった。
しかし、なんとかリン姫の肩を掴んではいる。
おそらくこの手を離すことが自分の命を落とすこと…と無意識で感じ取っているのだろう。
何があってもこの手だけは離さなかった。
りゅい「きぃ…くそぉ!!」
飛び掛ろうと、腕を振り上げる。
りゅい「!!」
と、りゅいの目にリン姫の目がわずかながら見える。
前だけを見てるため、りゅいは全く映っていない瞳。
綺麗で輝くような瞳。
しかし、りゅいにはまるっきり別の要素を含んでいた。
禍々しく深い瞳。
どこまでも深く、底が知れない危なさを秘めた瞳。
そんなものに映った。
りゅい「うっ……」
攻撃をたじろんでいると、
リン姫「…!」
りゅい「ひぃ!!」
リン姫の目はさらに睨みを効かせる。
その瞳はさらに禍々しさを増した凶器の目と化す。
りゅいの全身の力は抜け、怯え腰へと変わる。
ラビ「………」
バニ「………」
ラビバニもリン姫の目を見たのだろう。
脱力化し、力が抜けている。
ラビは鎌を下ろし、バニは構えを解いてしまった。
完全に戦意を失った3人。
力を失い、呆然とリン姫を眺める。
リン姫と南田はそんな視線の中を気にせず進んでいく。
そしてりゅいを、ラビを、バニの横を通り過ぎる。
何事も無く。
何も起こらず。
言葉一つ発せずに。
やがて、リン姫ペアは墓地ゾーンを抜け、視界から消えるであった。
その後しばらく。
リン姫が姿を消してからもりゅい達は呆然としたまま。
コリンもそんな光景を悲痛な面持ちで眺めることしか出来なかった。


ラビ「はぁ…はぁ……何なの、あれ…?」
最初に口を開いたリン姫が去って1分が過ぎてからだろうか。
ラビとバニ、ぺたんと地面に座り込み、
バニ「コリンちゃんが言ったの本当だよ」
バニ「…あんなのとやりあっちゃいけない」
ラビ「いまさら言ってもおそぉ〜〜い!!」
ラビ「ああっ、もう凄くこわかったぁ〜!!」
バニ「んん〜〜〜」
一方で、
コリン「りゅいちゃん…大丈夫?」
りゅい「………」
コリン「………」
りゅい「あいつ…くそぉ…」
コリン(泣い…てる?)
顔はこちらに向けていないのでわからないが、りゅいの口調からなんとなくそう判断する。
恐怖からきたモノ、まるっきり手が出せなかった悔しさからきたモノ。
彼女の涙には色々な理由が含まれているのだろう。
妖怪である彼女が最大級の恐怖を味わわされたことは間違いない。
コリン「りゅい…ちゃん……」
コリンにはかける言葉が無かった。
『ザッ』
コリン「!?」
足音。
墓地に次の組が訪れたのだろう。
それにしても、登場が早い。
次の組の登場に気づいたのはコリンだけ。
他の者はまだ気持ちを落ち着かせておらず、座り、崩れ込んでいる。
コリン「…ひみろ…ちゃん」
りゅい「え?」
ラビ「ひみ…」
バニ「ろ…?」
コリンの言葉にハッと顔を向ける。
ひみろ「ようやく番が回ってきたからな、少々急いできた」
順番が待ち遠しくて仕方なかったのだろう。
やけに登場が早いことから容易に分かる。
コリン「あれ…ペアの人は?」
その場にはひみろしかいない。
ひみろ「あとから来るように言った。というかオレが急いできた」
コリン「はぁ…」
置いてけぼりの相方のことを考えると呆れ顔にならざる終えないコリンであった。
もはや、肝試しが成立していないような気もする。
バニ「ひみろぉ…」
ラビ「………」
ひみろ「……」
ひみろ、目を閉じる。
精神統一か何かなのだろう。
それを数秒。で目を開けると、
ひみろ「全力で…勝負だったな」
強い目つきをしながら。
りゅい「…!?」
ラビ「いっ…」
バニ「それは……」
もはやリン姫相手に疲れ果てた状態。
とても闘える状態ではない。
しかも相手はひみろ、明らかに強いと分かりきっている相手だ。
バニ「待ってひみろ!!」
ラビ「それはなし、無しだからぁ!!」
ひみろ「加減はしない、いくぞ!!」
聞く耳持たずという感じで戦闘態勢を取るひみろ。
りゅい「待て、ひみろ!!」
ラビ「ま、まってぇ〜!!」
しかし、声は届かず、襲い掛かるひみろ。
『ボコバコボコバコ…』
ひみろによってりゅい達がボコボコに殴られたのは言うまでも無い。


次の組到着。
ネネコペアのようだ。
ネネコ「…って、あれ?」
ネネコの目に飛び込んだのはボロボロの墓にボロボロのりゅい達。
りゅい達は全身傷だらけのよく立ってられるな状態だった。
ケリー「凄まじいな、これは…」
ネネコのペアはケリーのようだ。
ネネコ「…大丈夫?」
りゅい「これで…大丈夫なわけ無いだろぉ!!」
コリンに薬を塗ってもらいながらのりゅい。
コリン「あはははははっ…。もう流石にやめてあげて」
苦笑いのコリン。
コリンの服もボロボロになっている。
ひみろの制裁をいくらか受けたのだろう。
もはや行き過ぎた状況といった感じだ。
ネネコ「あ…うん」
なんか拍子抜けなネネコ。
ラビ「ああもう、今日は散々だぁ〜!!!」
バニ「本当…。もう二度と肝試しなんてやらな〜い」
コリン「ははははははは…はは……」
『キュピーーーン』
リン姫『コリン…』
コリン「あっリンちゃん!」
リン姫からのテレパシー。
コリンのリンちゃんという言葉に、
りゅい「なっ…!」
ラビ「なにぃ?」
バニ「今度は何なのぉ?」
やたらとリン姫の名に過敏になってしまったらしい。
3人とも、テレパシーだというのに怯えの表情が見られる。


集合場所。
リン姫『妾は今ゴールしたところじゃ』
コリン『あっ、そう。お疲れ様』
コリン『こっちはもう大変だよ〜。あの後ひみろちゃんに無茶苦茶にされて…』
リン姫『その話は後ほど聞く」
コリン『ん?』
南田「あの…姫…様、本当にやるんですか?」
リン姫「お主が言い出したことじゃぞ」
南田「でも…本当にいいのかな〜?」
リン姫「お主に責はいかぬよ。心配するな」
南田「はぁ…」
南田「隊長…ご愁傷様です」
コリン『どうしたの?リンちゃん」
リン姫『いや、少々な』
リン姫『ネネコは過ぎたか?』
コリン『いや、今ここにいるよ』
リン姫『なら、次じゃ』
コリン『次?』
リン姫『最終組』
コリン『最終組…。に、何があるの?』
リン姫『ラストは江藤とエルティーネペアじゃ』
コリン『ふぅ〜〜ん…』
二人の名はコリンには関心は無いようだ。
リン姫『今回のペアは江藤がほぼ独断で組んだようでな』
リン姫『で自分が美味しい思いをすべく、エルティーネに…となっておる』
エルティーネは部隊中人気が高い。
巨乳でかつ美女だからだ。
また、リン姫のように高嶺の花でもなければ、近寄りがたいオーラを出しているわけでもない。
コリン『ふぅん。ボクからしたらリンちゃんのが可愛いのにね。かっこいいし』
リン姫『………』
照れるリン姫。
南田「どうしたんですか?赤くなって…」
『ギロッ』
南田をにらみつける。
南田「ひっ……」
リン姫『とにかく、江藤の私欲よがりな組み合わせに怒りを抱いている者がここにおる』
リン姫『で、制裁を与えて欲しいとそういうわけじゃ』
コリン『ふ〜ん…、珍しいねリンちゃんが頼みを聞くなんて』
リン姫『妾も賛成じゃからな。別に妾が手を下すわけでもないし』
コリン『…わかった。ようは江藤ペアを思いっきり怖がらせれば良いのね』
リン姫『ペアじゃなく江藤だけじゃ。エルティーネは保護せよ』
コリン『ん〜、わかった…』
コリン『ねぇ、皆に説明してくれない。ボクからじゃちょっと…』
リン姫『よかろう。広域展開を頼む』


ネネコ「じゃ、行くね!」
先へ進もうとするネネコ。
コリン「あっ、ちょっと待って」
ネネコ「え?」
足を止める。
コリン「まぁ、良かったら…だけど」
コリン「今ならリンちゃんからテレパシー聞けるよ」
りゅい「………」
バニ「何?」
ネネコ「?」
ケリー「どうする?」
ネネコ「う〜ん、じゃあ残ってる。すぐ追いつくからちょっと先行ってて」
ケリー「…わかった」
ケリーはネネコの言うことを素直に聞き入れ、一人墓地をあとにする。
墓地に長居したくないというのもあるだろう。
が、それ以上にりゅい達とそりが合わず関わりたくないというのが本心か。
コリン「じゃ、皆入れるよぉ〜」
アンテナ広域展開。
コリン『リンちゃん、OK♪』
リン姫『うむ、感謝する』
ネネコ「ねぇねぇ、何?」
りゅい「………」
リン姫『ネネコもか。…まぁやりたいなら一緒にやってくれ』
リン姫『では、言うぞ…』
リン姫からの江藤恐怖に陥れよう作戦の説明がなされる。


リン姫『分かったな』
説明が終了したようだ。
りゅい「ちっ、…なんでお前の言うことを」
リン姫『これは命令じゃ。従わなければ…』
リン姫『あとでどうなるか思い知れよ!』
その口調はりゅい達には先ほどのリン姫の怖い目つきが脳裏に浮かばせた。
ラビ「ひぃ……」
バニ「もうやぁ〜…」
リン姫『では、あのエロ親父に最大の恐怖とやらを知らしめてやれ』
通信終了。
ネネコ「お姫様のわがままだね」
コリン「かわいいよね、こういうとこ♪」
りゅい「どこがだぁ〜!!!」
りゅいの全力否定。
ラビ「拒否権無いよね」
バニ「怖いもん…」
りゅい「ぐぅ…こうなったら…」
ラビ「全力でやるっきゃない!!」
コリン「…お姫様の命令。ボクも下された身だし…」
マントの下に隠されていた薬。
計6つの薬瓶を指に挟み、
コリン「今度はボクも参加しないとね」
ネネコ「おもしろそぉ、わたしもやるぅ〜!!」
コリン「じゃあ、エルティーネちゃんを江藤から引き離してあげて」
コリン「引き離して、保護して…で、ボク達がドバン!!…っとね」
ネネコ「了〜解」
ラビ「やる…やってやるぅ〜!!」
バニ「加減なんか本当にしないほうがいいよね、魔術…フルで使っちゃう!!」
りゅい「………」
ネネコ「りゅいちゃん?」
りゅい「…やるやるやってやる、やってやるぞぉ〜!!!」
もはや、狂犬。
どこか理性を失った顔をしていた。
口は笑っているのに、目は怒っている。
りゅい「いくぞぉ〜!!!」
一同「おお!!!」


林参道。
エルティ「あの…すこし離れていただけませんかぁ?」
やたらとエルティに近づいてくる江藤。
江藤「いやいやこんなところ危ないだろうと思ってな、近くの方が安全だろう」
そう言ってさらにエルティに近づく。
エルティ「嫌です!!」
江藤を突き飛ばすと、離れて歩こうとする。
江藤「おっと、駄目だな」
江藤「この先は亡霊が出るからな、気をつけないと…」
りゅい達が待ち受けていることを知っているようだ。
エルティ「…………」
エルティ(なんで…でも、りゅいちゃん達怖いみたいだし…もうやぁですぅ)
どうやらお化けというのを逆手にとっているようだ。
江藤(へっ、これならあいつ等が出てきたときには…)
江藤の妄想が始まる。


りゅい亡霊「けししししし……」
りゅい亡霊を目にしたエルティは、
エルティ「きゃ〜!!怖いぃ!!!」
そう言って江藤に飛びつく。


江藤「ふははははははっ」
そんなことを考えているのだろう。
エルティ「…?」
エルティは江藤が怖くてならない。
この状況で笑う江藤を怪訝な目で見つめる。
江藤(おっ……)
いよいよ墓地ゾーンへ入る。
砂地から石地へ入る。
エルティ「怖い……」
江藤も…そしてお化けにも…エルティーネには危険が一杯だ。
江藤「ぐはははははっ、こんなもの大したことは無い!!」
上を向き、高笑いをする。
大した余裕の表れだ。
しかし、
江藤「あれ?」
右を向くと、いるはずのエルティーネがいない。
左、後ろ、きょろきょろと周囲を見回すもどこにもエルティーネはいないようだ。
江藤「ど、どういうことだ?」
???「…樹羅・妖華染」
りゅいの赤霧妖術。
???「双青霧不(そうせいむふ)、金聖母(きんせいぼ)…」
りゅい以外の声も。
今度はりゅいだけではないようだ。
赤青黄、三色の霧が混ざり、空間を支配する。
???「双青霧不は人を不安に陥れるもの、そして金聖母は感情をあらわにさせる…」
???「これで準備完了…」
江藤「な、なんだ…!?」
江藤に聞こえるか聞こえないかの声。
とにかく、江藤には彼女たちの言葉の意味までは理解できない。
江藤「りゅいか!?ラビか!?お前たちなんだろう!!?」
問いかける。
も、訪れるのは沈黙。
『ギランッ』
江藤「なっ……」
きらっと光るもの。
それは大鎌が放つ光。
ゆらっと揺らめく大鎌はゆっくりと江藤に近づく。
見えるのは鎌だけ。
人の姿は見えない。
江藤「なんだ?ラビか?どこにいる!?」
気が動転してくる。
鎌は見えるのに人が見えないのだから…。
りゅい「けけっ、樹羅・妖華染は人の姿を消すことが出来る」
りゅい「セフィーやあの姫様には破られたがな…」
見えない恐怖。
声は届かず、りゅい達と予測できても対話してくれないので恐怖はぬぐえない。
本当にりゅい達なのか?そんな疑問すら出てくる。
バニ「闇魔術、秘法系統一…ヴァンデッド……」
小さな小さな声。
しかし、その声が恐怖を呼び寄せる。
『ゴボッ…ゴボッ…』
江藤「…?」
墓から、地面から音がする。
バニ「怨霊の多い所でしか使えない魔術。墓場でしかも墓を荒らしまくった後…」
バニ「環境は最高よ」
江藤「うぉ!!」
『ゴボッ…ガシッ……』
石を跳ね除け、地中から這い上がってくる何か。
江藤「な、なんだ、これは!?」
バニ「…ゾンビだよん」
そう。茶色い体の不思議な生物、ゾンビが墓から這い上がってきた。
その数10を超える。
そして、江藤に寄りかかっていく。
江藤「く、くるなぁ〜!!」
ラビ「くふふっ、やるねぇ〜」
ラビ「…じゃ、私も」
立ち止まり、鎌を回転させる。
ぐるぐるぐるぐると回し、
ラビ「…闇神の舞」
唱える。
すると、ラビが黒い衣装に包まれた。
そして、完全な死神と化する。
『ギラン』
光る目。
見えるのは目の部分だけ、顔の輪郭等は布に包まれて見えない。
江藤「く、くるなぁ〜!!」
ゾンビを避けて走る江藤。
寄って来たゾンビを石をぶつけて吹き飛ばす。
石が無い場合は、手で突き飛ばしたりもする。
気が動転しているとはいえ、見事に対処しているといえる。
しかし、
『ギュン』
背後から鎌で首元を挟まれる。
少しでも動けば、切れるといった状態だ。
江藤「…なんだ?」
体は動かせないので、顔だけ後ろへ向ける。
そこには死神がいた。
江藤「ひぃ…!!」
ラビ「死後ノ世界ヘ…誘オウゾ」
声まで変わっている。
これがラビだと分かるものはいないだろう。
江藤「ひ、ひぃぃぃ!!」
もはや、恐怖は加速するばかり。
そして、りゅい達のいたずらはとどまることを知らない。
コリン「まだまだぁ、これぐらいじゃリンちゃんは許してくれないからね」
コリン「続けて幻黄泉(げんよみ)…」
りゅい「けけっ、俺もいくぞぉ…」
まだまだ続く、りゅい達の恐怖。
江藤「うおぉぉぉぉ…」
江藤『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
それ以後、江藤の絶叫はしばらく続くのだった。


―完―


―――――――――――――――――――――――――――――――――


はい、完結です。
ご拝読ありがとうございました。


次のエピソードはしばらく無し。
書き出しのがあるんですが、まだ途中状態なもんで…。
完成したらまたアップしますです。